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高真空ポンプ油:よくある質問

油回転真空ポンプ油の抗乳化性(水分離性)はなぜ必要なのですか?
水蒸気を吸引するとポンプ内で凝縮し、油中に混入すると乳化状態になります。このとき水が速やかに分離しないと、高真空側でのガス(水蒸気)放出が大となり到達圧力が高くなったり、ポンプ内部を腐食させることになります。このため、水分離性がよく、水抜きの容易な油が求められます。
真空ポンプ油の耐熱性はなぜ必要なのですか?
到達圧力を低くするためには、油の熱分解によるガス放出が少ない耐熱性の優れた油が要求されます。 また油の交換頻度を少なく(油の寿命を長く)するためには耐熱性等が良好なことが要求されます。
真空ポンプ油の到達圧力の示す意味を教えてください。
真空ポンプ油を用いて実際に真空ポンプを運転し、排気を充分に行った定常状態において得られる最低の圧力をいいます。真空ポンプ油の蒸気圧はポンプの到達圧力よりも低いことが必要です。
拡散ポンプの排気速度の意味を教えてください。
拡散ポンプの排気能力を示します。基本的には拡散ポンプの構造によって決まる性能ですが、拡散ポンプ油の分子量が影響します。分子量が小さ過ぎる場合には蒸気圧が高すぎ、また逆に分子量が大きすぎる場合には排気速度が低下します。
油回転ポンプ油の寿命に及ぼす原因にはどのようなものがありますか?また、その対策を教えてください。
代表的な原因を示します。
・吸引する気体(溶剤、水など蒸気圧の高い物質)の混入による真空度低下
少量の混入物は取り除くことができますが、多量で分離できない場合は油を交換します。
・低真空度で使用する場合の酸化劣化
真空ポンプの外部冷却を強化したり、耐熱・耐酸化安定性の優れた油に交換します。
・吸引気体が非常に高温の場合の熱劣化
真空ポンプの吸込み側に冷却器を取り付けたり、耐熱・耐酸化安定性の優れた油に交換します。
(ネオバックSO-M>MR-200A>MR-200など)
・粉体、固形物の吸引による汚染
真空ポンプ油中に入った固形分を系外のフィルターで循環除去する、吸込み側にフィルターを取り付ける。
・腐食性ガス(フッ素および塩素系ガスなど)の吸引による劣化
現状では活性フィルターによる除去などが考えられますが、程度の差はあれ、ダメージをなくすことは期待できません。
拡散ポンプ油の劣化原因は何ですか、またポンプにどんな影響を及ぼしますか?
劣化原因としては、1)作動温度以上の過熱による熱劣化。2)油不足状態での加熱による熱劣化。3)高い温度(100℃以上)での空気接触による酸化劣化。4)真空装置からの吸入物との接触や、混入による劣化、などがあります。油の劣化は排気速度低下、到達圧力不良、分解生成物による圧力のふらつき現象などを招きます。
油回転ポンプのしくみを教えてください。
油回転ポンプは、シリンダーといわれる円筒と、その内部に回転するローターと翼により構成しており、回転軸に対するロータの取り付け方と翼の形の違いによって3種類のタイプがあります。
代表的な回転翼型油回転ポンプについて説明しますと、ローターの中心を軸としてローターを回転すると、ローターに取り付けた翼がシリンダー壁に接して回転し、吸気口からポンプの中へ入ってきた空気を圧縮します。出口には弁があり圧縮された空気が弁を押し上げて大気へ排出します。これを繰り返すことにより、吸気側を真空にすることができます。
油回転ポンプ油のはたらきを教えてください。
回転ポンプでは排気弁付近のすべての圧縮された空気が排気できるわけではありません。ポンプの工作上、圧縮しきれない空間が残ります。この空間は「無効空間」と呼ばれ、これがあると真空度はある値より良くなりません。
このとき油回転ポンプ油をポンプ内部に送ると、油が無効空間を埋め、しかも圧縮されないので、無効空間に残る空気を更に減らすことができます。その結果、真空度を良くすることができます。
そのほか油はシリンダー、翼およびローターの摺動を滑らかにする潤滑のはたらきがあります。
油拡散ポンプのしくみと拡散ポンプ油のはたらきを教えてください。
油拡散ポンプはボイラー部、ジェット部およびシリンダー部で構成し、機械的に動かす部分は存在しません。
ボイラー部で電熱ヒーターによって加熱された拡散ポンプ油は蒸気となってジェット部の各段のノズルから噴射します。吸気口から入った気体分子は、この蒸気噴流の油蒸気分子と衝突して運動量を与えられます。運動量を与えられた気体分子は下方に圧縮されながら排気口より補助ポンプ(主に油回転ポンプ)へ運ばれた結果、吸気系に真空状態が得られます。一方、冷たいシリンダー内壁にぶつかった油蒸気分子は凝縮液化してボイラー部に戻り、再び加熱されて噴射を繰り返します。